コメディか否か
Netflix “DON’T LOOK UP”

Facebookのタイムラインに同じ動画が何度も流れてくること、ありませんか?
ディカプリオ、ジェニファー・ローレンス、メリル・・ストリープ、ジョナ・ヒル、ケイト・ブランシェットなど、錚々たる俳優が登場する、この映像。

Facebookの広告だったのか、おすすめ動画だったのか、もはや分かりませんが、何度もこの予告に遭遇。
ハリウッド版三谷幸喜さん作品みたい、とか、予告で出てきたあの人は、実は出演時間数秒じゃないの?とか、
結局、色々と気になってしまい、つい本編を見てしまいました。Netflixオリジナル映画 “DON’T LOOK UP”

映画鑑賞後、映画好きの父親に「見るなら、今しかない。」と言ったことをはっきり覚えています。
それゆえ、お気に入りの映画批評ポットキャストのアメリカ人ホストが、数年後だったら面白かったかもしれないが今は笑えない、とはっきり言ったのには驚きました。

率直な感想

ここから先は、ネタバレがあるかもしれません。
この映画はコメディーで、とある出来事がコロナウィルスの世界的流行を表しており、さらにアメリカ大統領選挙も登場します。つまり、2021年のアメリカを風刺したコメディ映画ということでしょう。

個人的には、豪華な俳優さん達の演技は魅力的でした。
オタク教授として登場したデカプリオは、結局、最後はかっこよくなっちゃったし、
ジェニファー・ローレンスはどんな状況にいようとも、どんなキャラクターだろうとも、なぜか自然に受け入れられちゃう。
とある前大統領そっくりな人格のメリル・ストリープは、見たこともない展開になるし、
ジョナ・ヒルはこっちが恥ずかしくなるくらいの勘違い男を好演。
ケイト・ブランシェットはウザいけど憎め無い絶妙さがありました。
他の役者さん達も、個性が溢れすぎてて、上げていくと切りがありません。
唯一、声を聞く度に違和感を覚え、最後は出てくるだけで違和感を感じた、マーク・ライランス。きっとその違和感が、正しい役作りなんだと思います。意図しなかったら、あんな風にできないもんね。
皆さんがどう思ったか、気になるところ。

毎度、外国映画のコメディを見ていると感じる感覚ですが、笑いどころが理解できないこともしばしば。劇場で他の人が笑っていたら、ギャグだって分かるのにな。笑

2021は全ての人にとって、激動の年でした。この映画製作者は、きっとそんな辛かった出来事を笑い飛ばして欲しかった、という気概を感じました。
あのポッドキャストを聞くまでは。

他者の感想

ポットキャスとを聞いてわかったのは、アメリカの多くの人が、この映画が風刺する出来事を笑える状態ではないということ。

私自身もコロナ大流行の影響を受けているので、まだ沢山の人が精神的にも、経済的にも、身体的にも苦しんでいるのは分かっていたつもりです。映画に対する批判も、理解できました。

でも、2021年のアメリカ大統領選挙に関しては、当時ニュースを見ていても、半分冗談のように見ていましたから、映画でも面白いと思ったのです。ただ、実際のアメリカ市民にとってみれば、笑えるものではありません。一連の選挙戦での出来事でできた人々の傷は、コロナパンデミックと同じように、まだ癒えてはいなかったのです。

最終的に思うこと

となると、世界中の人が、この映画を楽しみ笑える日が来ることを、願うばかりです。
この映画を通して分かったことは、聡明で正直な人は世界を変えることはできないが、力のある人は一定数の人々を動かすことができるということ。それが、真実であろうが偽りであろうが、良いか悪いかに関わらず。つまり、最終的には、我々は自分のできることをやるだけなのでしょう。

それが本当だとしたら、怖くなってきました。そんな世の中の仕組みには、希望がありません。
この映画、初見では笑えた私でも、次に見たら笑えないかもしれません。

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