「破壊者」と「野良犬」の意味
映画“ストレイ・ドッグ”

洋画の原題と邦題。パターンはいくつかあって、英語をカタカナで表示する場合、日本語に訳されている場合、あとは少し変わっていたり、別の題名がついている場合。

何となく、ネットフリックスをつけて映画を探していると、“ストレイ・ドッグ”という映画を見つけました。
Dogがつく題名の映画を見たかったので、よく確かめずに見始めました。しかも、ニコール・キッドマンの映画なら、酷い映画ではないだろうと。

最初の印象

いつもの美しい姿からは想像できない、やつれて皺だらけのニコール・キッドマン演じる刑事。かつて、犯罪組織に潜入捜査をしていた時、一緒に潜入していた恋人の警官を組織のリーダーに殺され、そのリーダーに復讐しに行く役どころ。

これでもかというほど、身体的にも精神的にもぼろぼろな演技のニコール・キッドマン。今まで見たことのない役で新鮮でした。17年前の回想シーンでは、期待を裏切らない可愛らしい姿で、思い切り演技の幅を見せつける演出。

ストレイ・ドッグという題名は、野良犬のように、一人、人生を彷徨う主人公を表しているのでしょう。実際に予告映像にもあるように野良犬も映し出される象徴的なシーンもあります。

タイトルの意図

映画鑑賞の後、IMDbで評価を確認するのが好きなのですが、英語でStray Dogと打っても出てこない。Googleサーチすると、なんと“Destroyer“という原題でした。


ここからは、ネタバレ注意です。
確かに、主人公は自らのキャリア、恋人、娘との関係など色々なものを壊してしまった破壊者。しかし、彼女が意図したことでは無いので、破壊者ではなく、日本語のStray Dog(野良犬)の方が合っているような。
それでも、やはり思い出されるのは彼女の異常な執着心。彼女の人生を野良犬に変えてしまった元凶、犯罪グループのリーダーを文字通り破壊する、そして、最後には自身までも・・・彼女は、やはり野良犬の破壊者でした。

では、なぜ、デストロイヤーという邦題にしなかったのか、真意はわかりません。断定して破壊者と呼ぶより、Stray Dogと呼んで余白を残したのか、と憶測します。一つの映画に各言語でいくつもの名前が付けられる。終始辛い内容の映画の中に、製作している方々のロマンを感じてしまいました。

ちなみにDogのつく見たかった映画、原題も邦題も同じ“パワーオブザドッグ“でした。これは、“犬の力“とはならないのね。笑

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