男性同士の恋愛リアリティショーNetflix “ボーイフレンド”

きっかけは、中国人の友達からの質問でした。

   どうして日本人は『好きになっていいですか?』って聞くの?

彼は、リアリティショーの出演者がこのフレーズを言っていた、色々な恋愛ドラマやアニメを見たけど、このフレーズは日本の作品でしか見たことがない、と力説。
「ボーイフレンド」は男性同士の恋愛リアリティショーで、日本が舞台だけど、日本人以外にも色んなバックグラウンドの人が出演している、と教えてくれました。

今、住んでいるニュージーランドは同性婚が法的に認められていて、私の友人にも同性カップルは何組もいます。
日本はLGBTの方への理解度が低い国(Meltwater Japan, 2023)なので、さすがNetflixと思いつつ、さっそく見てみることにしました。

Netflixシリーズ “ボーイフレンド”

「その夏、僕は彼に恋をしたー」
海の近くのビーチハウスで、9人の Boysが共同生活。
恋と友情に全振りする特別な時間。
生涯忘れられない夏がいま、幕を開ける——。

海の近くに佇むビーチハウス “Green Room”と、ペパーミントのコーヒートラック。集まったのは、男性が恋愛対象の9名のBoys 。恋人探しのため、生涯の友を見つけるため、自分を変えるため……それぞれに思いを秘めてGreen Roomを訪れたBoysが織りなす、日本初となる男性同士の恋愛リアリティショーがついに誕生!これまで主に異性間だけで語られてきた日本の恋愛リアリティショーの歴史に、新たな1ページが刻まれます。

【スタジオ出演】 MEGUMI、ホラン千秋、青山テルマ、ドリアン・ロロブリジーダ、徳井義実

Netflixリアリティシリーズ「ボーイフレンド」
2024年7月9日(火)Netflixにて独占配信開始

Netflixで視聴: https://www.netflix.com/title/81685213

リアリティシリーズ「ボーイフレンド」予告編 – Netflix YouTube

参加メンバーには、「約1ヶ月のあいだ共同生活をすること」「コーヒートラックを皆で運営すること」というミッションが最初に与えられます。恋愛リアリティショーでありつつも、恋愛成就のみならず、一生モノの友情を育むことや、宝物のような一ヶ月を過ごすことも祝福すべきゴールとなっています。

The Boyfriend_ALAN

アラン/ IT企業勤務・ブラジル出身 29歳

The Boyfriend_DAI

ダイ/ 大学生 22歳

The Boyfriend_GENSEI

ゲンセイ/ ヘアメイク・台湾出身 34歳

The Boyfriend_IKUO

イクオ/ 飲食店勤務 22歳

The Boyfriend_KAZUTO

カズト/ 和食料理人 27歳

The Boyfriend_RYOTA

リョウタ/ モデル・カフェ店長 28歳

The Boyfriend_SHUN

シュン/ アーティスト 23歳

The Boyfriend_TAEHEON

テホン/ デザイナー・韓国出身 34歳

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ユーサク/ GOGOダンサー 36歳

Netflixリアリティシリーズ
「ボーイフレンド」🏳️‍🌈本予告&キーアート&メンバープロフィール 解禁!🏳️‍🌈

シリーズの感想

まず、出演者の方々が爽やかで、素敵すぎる!

実は、日本のリアリティ番組は少し苦手です。海外のリアリティショーは、別の世界のエンターテインメントと割り切って楽しめるのですが、日本のリアリティ番組の同じ文化・社会にいる日本人として、自分の価値観と比べてしまい、出演者の方に感情移入できず、楽しめない経験がありました。
でも、「ボーイフレンド」は、無理矢理感なく、見ていられました。

理由の一つは、ゆっくりした序盤の展開かもしれません。
ドラマティックな展開を焦っている雰囲気もなく、共同生活という特殊な環境の中でも、どこか日常的な落ち着いた空気が感じられました。その中にも、出演者達の価値観とか、考え方など、物語が反映されていました。

その後、徐々に出演者の関係性が展開していき、終盤はドキドキの展開も!?ただ、それも、人それぞれで、他の出演者との関係性が動いた人もいれば、恋愛関係には至らない人もいました。視聴者目線では、シリーズの流れが自然に感じられ、新鮮でした。
共通するのは、限られた時間の中で、自分なりの答えやコンセプトを実現させようとする姿。単純に、胸打たれてしまった。

私にとって(みなさんも同じかもしれませんが)、リアリティー番組は、出演者のキャラクターを楽しむというか、研究するエンターテインメント。出演者の方達は、自分のこと、周りのこと、客観的に捉えていらっしゃって、色々な経験をされてきたんだな、と。配信された内容は、編集された場面ではあることはわかっているのですが、出演者の方達のキャラクターを知ることができた気がします。

その証拠に、最初は全く興味を示していなかった、私の相方、最後は出演者の名前を完璧に覚え「インスタグラムやってるかな?」って。自分はアカウント持ってないくせに、出演者のプライベートというか、その後が気になっちゃってる。笑

「好きになってもいいですか?」の文化

問題の「好きになってもいいですか?」というフレーズ。
もう一度説明すると、私がこのシリーズを見ていない段階で、中国人の友人からの質問。

   日本人は、どうして『好きになっていいですか?』と聞くの?

ー日本人は相手の気持ちを気にして、そういう風に聞くんじゃないかな。

彼は、中国語字幕で海外の作品を見ていて、私とは英語で話しているのですが、続けて、

   “Can I come to like you?”という意味の中国語字幕が出るよ。そもそも、この訳はあってるの?中国も、文化や価値観は日本と似ているけど、このフレーズは、日本の作品でしか見たことがないよ。

ーたしかに、そのフレーズたくさん使われてるから、訳はあっていると思う。

あなたのことを好きになっていいですか? 

"Can I come to like you?"

この英語のフレーズ、とても不自然。
第二ヶ国語として英語を話している友人と私にとっては、”Can I~?”というフレーズは、許可を求めているようなニュアンスがあります。

ーたしかに、人を「好き」な「気持ち」に許可が必要なのかな?そもそも、質問をしたところで、コントロールできるものなのかな?

友人は、

   なんか、とても不思議に感じたんだよ。

感情を表現する時は、もちろん大人ならコントロールすべきものだと思いますが、本来、何か/誰かを「好き」という感情に許可は必要ありませんよね。なぜ、このフレーズを使うのかを私なりの考えを説明しました。

ー相手の気持ちを尊重したり、拒否されて自分の気持ちが傷つかないように、自分が相手と同じ気持ちか確かめたいのだと思う。「好きになってもいいですか?」と聞くことで、相手の反応を見ることができるから。いい反応だったら関係を発展させられるし、反応が悪かったら相手との関係は発展させられないし。

それを聞いて、ひと言。

   それ、日本人だけだよ。日本人、真面目すぎだよ!

笑われました。笑

ここからは、ネタバレがあります。

実際にこのフレーズが出てきたのは、エピソード7。
真剣な表情のイクオさんが、呼び出したカズトさんに向かって、

好きになってもいいですか? 

"Do you mind if I fall in love?"

おばさんの心臓は、きゅん。笑
ちなみに、英語ネイティブの人間には、どのように聞こえるのか。一緒に視聴していたニュージーランド人の相方に聞いてみました。

ー自分の気持ちなのに、許可を得ているような言い方だけど、どう思う?

   たしかに、英語圏ではあまり聞かないけど、いいアイディアだと思う。
   同じ気持ちでいることを事前に確認することは、理にかなってる。

なるほど。現実的です。
そして、あくまでも、彼の意見です。

改めて思うこと

日本では、大反響だったようですね。
そして、日本以外でも反響があったようですね。海外のメディアでも、シリーズや出演者に関する記事がありました。

Meet the Cast of Netflix’s ‘The Boyfriend,’ Japan’s First Same-Sex Dating Show

This summer’s coziest reality series prioritizes heartwarming authenticity over chaotic melodrama.

marieclaire.com

Netflixの「ザ・ボーイフレンド」に出演するキャストを紹介、日本初の同性カップルリアリティショー

この夏、一番心温まるリアリティシリーズは、波乱のドラマよりも温かみのある本物の感情を大切にしています。

Where Are All the Cuties From The Boyfriend Now?

I already miss these coffee-making couples and BFFs.

elle.com

『ボーイフレンド』のキュートな出演者たちは今どこに?

すでに、あのコーヒーを淹れるカップルや親友たちが恋しい。

シリーズの中では、LGBTの方達だからこその話題や悩み、過去の経験も取り上げられていました。

視聴しながら、考えました。悩みやネガティブな過去の経験などは、程度や内容は違えど全人類に共通していること。
出演者の方たちの会話を聞いていても、違う世界の人とはこれっぽっちも思わず、共感するところもあり、また気付かされるところもありました。

個人的に思うことは、人は、先天的な要素、後天的な要素がありますが、人種、国、宗教、家庭、教育、社会構造、その他、様々な文化的・社会的背景に必ず影響されていると思っています。
このシリーズを見て、自分以外の人の意見や価値観、同意はできなくても、尊重することに悪い要素はない、と改めて学びました。
コミュニケーションしないと分からないことって、世の中多いです。

海外に住んでいると、バックグラウンドの全く違う人たちに会うので、つくづくそう思います。
私も日本にいた時は、似た環境の人たちと出会い、過ごすことが多かった。その方が心地よいこともあるし、全く悪いこととは思いません。平等な目線は存在しないからこそ、親しんでいないコミュニティの人たちのことを認識することは重要だし、必要だと改めて思います。

人を分類するのは逆に偏見があるようで好きではないですが、色々な角度からの尺度で、意図しなくても、人は分類されています。私も、自分の考えがあるし、理解できない他人の行動もあります。でも、偶然、隣にいる人の考え方が自分と異なっていたとしても、それを尊重できる人間でありたい、素直にそう思いました。

穏やかだけど人間味があって、ドキドキさせてくれるNetflixシリーズ『ボーイフレンド』、おすすめです。

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